大会長挨拶

日本物理療法合同学術大会2023
​大会長 山口 智史

 物理療法は、なぜ臨床で十分に活用されないのか?物理療法に関わる臨床家、研究者、 開発者、企業など多くの人が、抱えている長年の悩みであり、臨床における物理療法の普及は大きな課題となっています。

 物理療法は、理学療法の定義において運動療法に並ぶ重要な治療戦略に位置づけられています。また、研究知見は増えており、国内の理学療法ガイドライン第2版や脳卒中ガイ ドライン2021においても、一部の物理療法は高いエビデンスが示されています。

 さらに、一般社団法人 日本物理療法学会や一般社団法人 日本理学療法学会連合 日本物理療法研究会は、学術活動の推進やセミナー開催などの情報発信を進めてきました。また、国際物理療法学会(International Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy: ISEAPT)に参加し、国際的な立場からも物理療法の普及を推進してきました。それでも、臨床において物理療法の存在は薄くなっている現状があります。

 この背景には、「機器がない」、「使い方がわからない」、「時間がない」、「興味が持てない」などの複数の要因があります。さらに、物理療法が活用されない理由の1つに、『効果が実感できない』という意見を聞くことがあります。この効果が実感できない理由は、患者の病態を正しく計測し、病態を理解したうえで、物理療法の効果機序に基づいた治療選択により、患者の病態を変えることができていないことがあると考えます。

 本学術大会ではこのような状況を鑑み、『物理療法の評価と治療‐測る・理解する・変える‐』と題しまして、物理療法を正しく選択・活用するための評価と治療に焦点を当てたいと考えます。測る・理解する・変えるは、臨床実践そのものであり、また研究においてもそ のプロセスは同じです。このような視座から、本学術大会が臨床と研究における物理療法の 活用と発展に向けた一助となればと考えております。本学術大会をとおして、我々の最大の 目的である患者のリハビリテーションにおいて、最大の効果が得られるように、物理療法の実践と発展に寄与することができればと願う所存であります。