大会長挨拶

大会長 山口 智史
物理療法は、なぜ臨床で十分に活用されないのか?物理療法に関わる臨床家、研究者、 開発者、企業など多くの人が、抱えている長年の悩みであり、臨床における物理療法の普及は大きな課題となっています。
物理療法は、理学療法の定義において運動療法に並ぶ重要な治療戦略に位置づけられています。また、研究知見は増えており、国内の理学療法ガイドライン第2版や脳卒中ガイ ドライン2021においても、一部の物理療法は高いエビデンスが示されています。
さらに、一般社団法人 日本物理療法学会や一般社団法人 日本理学療法学会連合 日本物理療法研究会は、学術活動の推進やセミナー開催などの情報発信を進めてきました。また、国際物理療法学会(International Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy: ISEAPT)に参加し、国際的な立場からも物理療法の普及を推進してきました。それでも、臨床において物理療法の存在は薄くなっている現状があります。
この背景には、「機器がない」、「使い方がわからない」、「時間がない」、「興味が持てない」などの複数の要因があります。さらに、物理療法が活用されない理由の1つに、『効果が実感できない』という意見を聞くことがあります。この効果が実感できない理由は、患者の病態を正しく計測し、病態を理解したうえで、物理療法の効果機序に基づいた治療選択により、患者の病態を変えることができていないことがあると考えます。
本学術大会ではこのような状況を鑑み、『物理療法の評価と治療‐測る・理解する・変える‐』と題しまして、物理療法を正しく選択・活用するための評価と治療に焦点を当てたいと考えます。測る・理解する・変えるは、臨床実践そのものであり、また研究においてもそ のプロセスは同じです。このような視座から、本学術大会が臨床と研究における物理療法の 活用と発展に向けた一助となればと考えております。本学術大会をとおして、我々の最大の 目的である患者のリハビリテーションにおいて、最大の効果が得られるように、物理療法の実践と発展に寄与することができればと願う所存であります。
【準備委員長挨拶】

準備委員長 立本 将士(写真左から2番目)
(準備委員 佐藤 孝嗣(左端)、高野 圭太(左から3番目)、片桐 夏樹(左から4番目))
お世話になっております。東京湾岸リハビリテーション病院 理学療法士の立本将士と申します。この度、日本物理療法合同学術大会2023の準備委員長を仰せつかっております。
一年以上かけて準備を進めてきた当学術大会も、いよいよ今月、2月18日に開催ということで、準備もいよいよ佳境に入ってきました。
ご参加頂く皆様に於かれまして、少しでも良質な学びの場となるよう、準備委員会も鋭意準備を進めております。
そして、皆々様のお力添えもあり、当初の予定を大幅に上回る演題数、参加登録者数となっております。この場をお借りし、心より感謝申し上げます。
並びに、協賛企業各社様に於かれましても、この度は当学術集会の趣旨にご賛同いただき、誠にありがとうございます。物理療法は各種機器があってのものと思っておりますので、効果的にアピールできるよう、準備を進めていきたいと思います。また会場で、改めてご挨拶をさせていただきます。
さて、大きなプレッシャーを抱えておりますが、大会長の山口先生を、さらにさらに大きく見せるべく、準備委員会一同、最後の準備に邁進していきたいと思います。行き届かない部分も多々あるかと思いますが、何分手作りの学会につき、ご容赦いただけますと幸いです。
では、まだまだ参加登録を受け付けております。皆様とお会いできることを、心より楽しみにしております。
引き続き、何卒宜しくお願い致します。
本大会は、日本物理療法学会と、日本理学療法学会連合 日本物理療法研究会が初めて合同で実施する学術大会です。物理療法の発展に向けた本大会の開催にあたり、両学会の理事長からの挨拶も発信させていただきます。
【一般社団法人 日本物理療法学会 理事長挨拶】

日本物理療法学会
理事長 庄本 康治
日本物理療法合同学術大会2023開催にむけて
パーキンソン病、アルツハイマー病、うつ、自閉症スペクトラム障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症、糖尿病、過食、高血圧、不整脈、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、関節リウマチ、がん、肝炎、喘息、頭痛、てんかん、めまいなどに対する物理療法的アプローチが、本邦を除く諸外国で精力的に実施され、bioelectric medicineと呼ばれています。物理療法と重複する分野も多い一方、従来のリハビリテーション医学対象外の分野も多く包含しています。Global Bioelectric Medicine Market Reportによると、研究費は2020年に186億円であったが、2026年には285億円になると推定しています。
様々な専門職が、bioelectric medicineも含めた物理療法の研究・臨床活動を実践しているのが世界的標準であり、様々な専門職から構成される日本物理療法学会と日本物理療法研究会が合同で開催する意義は高いと考えます。
これを機に様々な方に参加頂き、忌憚ない議論をすることによって多くの問題が解決していくと信じています。
【一般社団法人 日本理学療法学会連合 日本物理療法研究会 理事長挨拶】

日本物理療法研究会
理事長 生野 公貴
日本物理療法合同学術大会2023開催にむけて
この度、日本物理療法研究会は日本物理療法学会との初の合同学術大会を開催する運びとなりました。昨年、当研究会はさらなる学際的な発展を求め、理学療法士のみならず作業療法士や医師、柔道整復師、アスレチックトレーナーなど多職種が参画されている日本物理療法学会と協力関係を締結し、物理療法の発展のため積極的な学術事業を展開していくことに合意いたしました。本合同学術大会はその記念すべき船出となります。物理療法は理学療法における主要な介入手段の一つです。クライエントに安全かつ最良の結果をもたらすために、我々の手段の科学的根拠を確立することは、専門職として責務であり義務でもあると考えております。この学術大会は、理学療法士以外の他職種も集い、基礎分野の研究者や臨床家が多数参加され、急性期から在宅領域、神経領域から運動器、内部障害、健康増進領域など発表内容も多岐にわたる他に類を見ない刺激的な学会です。コロナ禍ではありますが、感染対策を施しながら、おいしいカレーとこだわりのコーヒーをご用意して下さるとのことで、リラックスした雰囲気で刺激的な議論が展開されることを期待しております。是非会場で新たな船出を楽しみましょう!